Beauty News vol.11 | 「介護改善につながる美容効果」化粧人口の拡大に新市場

2024.05.08

ランドプランニングアソシエーツがお届けする「美容・ヘア」情報です。
話題のニュースやトレンドを織り交ぜながら美容業界の今をお伝えします。

 

要介護認定者数の7割近くは女性

 

今回、高齢化社会に突き進む日本の介護事情と美容効果に関する深い因果と未来に着目してお話しいたします。厚生労働省の介護保険事業状況報告によると要介護認定者数は23年11月末時点で707万5000人。そのうち男性は226万人、女性は481万5000人で美容の潜在需要は決して少なくないと感じます。

 

訪問理美容の利用率は右肩上がり

 

日本総合研究所の推計では、2040年の要介護認定者数は約988万人へ増加する見込みで、寿命の男女差を考慮すれば女性の方が多いと想定できます。介護分野の美容需要といえば、訪問美容。ホットペッパービューティーアカデミーの調査「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」(24年1月発表)が発表されおり、訪問理美容の利用率は21年で24.9%、22年で27.1%、23年で28.0%と右肩上がりに上昇しています。

 

訪問理美容サービスの認知、訪問理美容サービスの利用

 

訪問理美容の評価は高いが定着が課題

 

しかも訪問理美容を利用した家族のうち、47.1%が「要支援/要介護度の改善につながった」と高い評価をしており、介護市場における美容需要の顕在化が考察できます。しかし、同調査によると訪問理美容の認知率は84.9%と高いにもかかわらず、利用率は50%以下で背景に美容の社会的価値(必要性)の定着が広まっていないと推察されます。

 

その理由として「お金がかかる・かかりそう」が 39.1%と、料金に関する不安が最も高く、続く回答として「迎える準備が必要そう・大変そう」が37.1%と手を出しづらいものという印象があります。

 

非利用者の訪問理美容サービスの利用可能性

 

そこで「お金がかかる・かかりそう」という回答に対し、現在、多くの自治体が「理美容チケット(訪問理美容の利用の際に使える金券のようなもの)」などの、訪問理美容サービスにおける補助制度を導入しおり、解決の糸口になりそうです。しかし、その「理美容チケット」サービス自体を79.5%の方が認知しておらず、このような補助制度を案内することで、訪問理美容サービス利用率のさらなる向上が期待できるのではないでしょうか。

 

訪問理美容サービスによる「美容の力」が新しい需要を創出

 

また、同調査の中で「訪問理美容サービスを受けた後の変化」も発表されており、1位が「笑顔になる」で49.5%。続いて「鏡を何度も見返す」「活力があふれた様子になる」など、訪問理美容を通じてイキイキとされる様子がうかがえます。心身ともに辛さを感じることもある介護生活の中で、訪問理美容が良い変化をもたらしてくれるというのは、ご家族にとっても嬉しいことだと思います。

 

訪問理美容サービスへの満足度

 

美容(美しくありたいと思う気持ち)が日常生活に不可欠な行為であると社会に認められ、家族の介護に取り入れる方が増えると、要介護者の症状改善に一役を担える「美容の力」が新しい需要創出につながることのではないでしょうか。

 

ランドプランニングアソシエーツ広報より。

 

出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)」厚生労働省 (令和5年11月分) / 株式会社日本総合研究所「介護分野及び福祉機器産業の将来像とロードマップ策定等に関する調査」(2023年3月31日)