Beauty News vol.8 | ちょっとした選択肢が絆を深める

2023.09.25
Beauty News Vol.8

ランドプランニングアソシエーツがお届けする「美容・ヘア」情報です。
話題のニュースやトレンドを織り交ぜながら美容業界の今をお伝えします。

 

「AかB」選択肢を限定し解決策を提案

 

新型コロナウイルスの大流行は、ビジネスに新しい仕組みやトレンドを数多く生み出しました。一例が「営業コールの分析」です。マシューディクソン著の「J O L T effect」によれば、オンライン会議のZoomやTeamsで対応した250万件の営業コールをテキスト化して機械学習で分析したところ、驚くべき発見があったそうです。

 

それは「今まで通用したセールス手法が効果を発揮しない」という分析結果を出したことです。例えば、お客さまに「現状維持だと今より状況が悪化しますよ」という営業トークでは、現状維持バイアス(“知らないことや経験したことがないことを受け入れたくない”という心理的傾向)を取り除いても56%は制約しないという結果が明らかになりました。それに対し「あなたの場合、AかBが良い」と選択肢を限定し、決断までの道筋を簡素化したり、客単価の抑制や保証などで“購入に踏み切れない気持ち”を取り除くセールスをすると、売り上げは120%向上することが分かったそうです。

 

 

サロン現場での活用例

 

これは営業販売における話ですが、サロンの現場でも同様に、現状維持の提案を勧めるより、お客さまに合わせた提案を1個か2個だけ用意して勧めると印象が大きく変わります。例えば「今回も前髪は整える感じでよろしいでしょうか?」というより「お客さまだとAスタイルとかBスタイルなんかがお似合いだと思います。チャレンジしてみませんか?」といった新しい善後策を提案し、決断していただく道筋を作った方が、お客さまとの関係性や信頼度が大きく向上するのではないかと考察できます。

 

今だからチャレンジングな提案がGOOD!

 

昨今の美容界の流れとしてハイトーンカラーブームが続いています。当然、話題の中心はヘアカラーになり、フォルムを変えるとしたら髪の長さを変える程度で、サロンユーザーからは「次の髪色どうしようかな」「どれくらい切ろうかな」といった会話は耳にしますが「どんな髪型にしようかな」といった会話はあまり耳にしません。だからこそ、ハイトーンカラーも“ブーム”から“スタンダード”になりつつある今、久々に髪型を変えたいと思わせる新たな提案が生きてくる機会ではないでしょうか。
今季代表的なカットスタイルで、アニメカルチャーから生まれた「姫カット」や、かっちり目ファッションのテーラードに相性がいい「シースルーバング×ボブ」スタイルなど。髪色だけでない、これからのスタイル考察に楽しさが増します。

 

アニメカルチャーから生まれた「姫カット」や、かっちり目ファッションのテーラードに相性がいい「シースルーバング×ボブ」スタイル

 

生の声からニーズをキャッチ

 

コロナ禍でストレスが蓄積し「今はこれ以上の変化はしたくない」と考える人が多い中、お客さまのニーズや背景をつかむ上で、会話から生まれるちょっとした言葉のニュアンスが今も重要視されています。そういった生の声から聞こえてくるニーズを敏感にキャッチして作り出した“ちょっとした選択肢(スタイルの提案など)”がお客さまとの絆を一層に深めるでしょう。

 

ランドプランニングアソシエーツ広報より。

 

出典 :原題 The JOLT Effect: How High Performers Overcome Customer Indecision 著者 Matthew Dixon, Ted McKenna